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架空戦記小説と軍事の記事を中心にしたブログです
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日中戦争の勃発で鉄道部隊はまた戦場に出動した。この時には昭和9年に満州ハルピンで編成された鉄道第三連隊も加わり、3個の連隊に増強されていた。
鉄道部隊は得意の鉄道進撃を行い、対する中国軍も装甲列車で対抗したが1937年(昭和12年)の石家荘付近の戦いで日本軍は中国軍装甲列車を捕獲して鉄道での戦いは日本軍有利に進む。
日中戦争の戦線の拡大は日本軍が管理する路線も増える事を意味した。昭和12年から13年の間に鉄道第四・五・六連隊が編成されて路線の警備や修復に工事・輸送任務に従事した。
1941年(昭和16年)6月。ドイツがソ連に侵攻し、日本は同盟国ドイツの支援と仮想敵国ソ連を叩くべく「関東軍特殊演習」と称して満州に部隊を集結させた。ここで鉄道部隊は部隊や物資の輸送と共に日ソ開戦の準備をしていた。日本陸軍は第1の仮想敵国としてソ連を想定し、満州からシベリアへ進撃する作戦を立案していた。鉄道部隊もその時に合わせて車両をソ連の広軌路線でも通れる仕様にしていた。
だが、日ソ開戦は無く太平洋戦争が勃発。鉄道部隊は新たに東南アジアでの活動をする事となった。占領したフィリピン・マレー・スマトラ・ビルマで路線修復や輸送任務に就き、今度は新たな路線を建設する事になった泰緬鉄道である。
泰緬鉄道はタイとビルマを結ぶ路線である。隣国を結ぶ路線ではあるが、国境付近の山岳地帯がそれまでの路線建設を阻んでいた。その困難に日本軍は挑む事となった。
ビルマに展開する部隊の輸送は船舶による海路だけしかなかった。だが、主要な作戦はビルマとは逆方向の太平洋中部やニューギニア・ソロモン諸島にあったから日本の保有する船舶の数では逆方向の戦線に回す余裕が無かった。それを見越して東南アジアの陸軍作戦を統括する南方軍鉄道司令部は開戦前から泰緬鉄道建設の計画を検討し、昭和17年に大本営に建設の申請を一時却下されるが7月には許可が下りた。
昭和17年9月16日に総延長415kmの鉄道建設が始まった。この建設に昭和16年9月に編成された鉄道第九連隊がタイから。ビルマから鉄道第五連隊が建設を行ったが、主な労働力は3万人の捕虜の連合国軍兵士に10万人の現地人労働者であった。
建設には日本から工具や車両ぐらいで、枕木や橋の資材となる木材は現地で調達。レールはマレー・ビルマから持ち込んだ。足りない資材や困難な地形であっても戦況に間に合わせる必要から雨季でも急ピッチで作業は進んだ。かつて、建設しようと現地調査したイギリス人。そして建設前に調査した日本の技術者も泰緬鉄道の建設には5年かかるとしていた。だが、それを1年以上で完成させた。(昭和18年10月に開通)だが、短期間の工事は連合軍捕虜1万2000人・現地人労働者3万人が犠牲となっての完成であった。
南方軍は泰緬鉄道で1日3000トンの輸送が可能と見積もったが、連合国軍の爆撃を受けて当初予定の3%しか輸送出来なかったと言う。
終戦後。泰緬鉄道は鉄道第九連隊が一時運営し、現在ではタイ側をタイ国鉄が運営している。また、映画「戦場にかける橋」のモデルにもなっている。
昭和19年3月から昭和20年5月までに第七連隊から第二〇連隊まで12個鉄道連隊が編成された。だが、太平洋戦争は島々を巡る戦いが主である為に鉄道部隊の活躍は限られていて、中国大陸や東南アジアの路線の維持や運行を行っていた。
1945年(昭和20年)8月9日にソ連が参戦した。満州が戦場となると鉄道部隊は輸送路確保の為に列車を運行し、ソ連軍の利用をさせない為にトンネルや路線を破壊した。中にはソ連軍と交戦してほぼ全滅した部隊もあった。こうした中で日本は降伏。終戦直後は前述の鉄道第九連隊による泰緬鉄道運営や中国軍の指揮下で北部仏印(イントシナ北部)の鉄道復旧や輸送を鉄道第十連隊が行った。
一部の部隊が技術を買われて終戦後も活動しつつも日本陸軍の解体と共に鉄道部隊の歴史は幕を閉じた。

ここまで見ると日本陸軍鉄道部隊は輸送・工兵の支援部隊としての性格。装甲車両に火砲を有する戦闘部隊としての性格と、鉄道さえあれば多様な任務が可能な汎用な部隊とも言える。泰緬鉄道は資材の不足と無理な工事で犠牲を強いる事になったが、他の点においては輸送も工事も戦闘もこなす自己完結の出来た独特の兵科として能力の高さを示したものであった。

新たな参考資料
・歴史群像2001年6月号「太平洋戦争PHOTO GRLLERY Vol.18戦場に架ける橋泰緬鉄道」
・「マンゴーシャワーにうたれて・・・」
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/hibi00/index.html
・フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)より「泰緬鉄道」の項
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