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架空戦記小説と軍事の記事を中心にしたブログです
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日本陸軍鉄道はシベリア出兵で新たな兵器を目の当たりにした。装甲列車である。
シベリアに対峙する赤軍・白軍・チェコ軍の装甲列車を見た日本陸軍は陸軍技術本部・造兵廠の技術者を現地に派遣して研究させた。
だが、シベリアに展開している部隊には装甲列車が必要だった。シベリアは冬季になると道路や河は雪が積もり、凍てつく為に鉄道だけが部隊唯一の移動できるルートであり、何よりも大事な補給線であった。
これを守る為に広軌牽引車が列車に先行して安全を確認する事になっていたが、危険地帯では列車自体も装甲を張り武装して攻撃から身を守るのも必要だった。
シベリアでは、鉄板・煉瓦・セメントを車両の側面に施して装甲とした。これに火砲を装備して日本陸軍初の装甲列車は生まれた。この装甲列車と広軌牽引車を合わせて日本陸軍は敵の攻撃を受けても対抗できる能力を持った。これにより、輸送と工兵の性格を持つ兵科から戦闘も出来る兵科へと向上したのであった。

1926年(大正15年)には装甲列車を使用して運用方法研究の演習を行い、その有効性を改めて確認した。1928年(昭和6年)の済南事件では演習の成果から南満州鉄道(以後、満鉄と略す)の協力を得て早急に装甲列車を配備する事が出来た。
1931年(昭和6年)からの満州事変では満鉄が自社の車両を改造して6編成の装甲列車を仕立てた。それらの装甲列車や通常の列車は事変拡大と共に満州各地へ部隊を送った。これら列車の運用は多くを陸軍鉄道部隊では無く、満鉄が行い、戦闘で壊れた路線の修復をも満鉄が行った。
(昭和6年末には臨時の関東軍鉄道中隊が編成された)
また、この年には装甲列車同士の戦闘が行われた。満鉄白旗堡付近の北寧線を進む中国軍装甲列車と路線警備の日本装甲列車と遭遇し、戦闘となった。この戦闘で中国軍装甲列車を大破させ、捕獲した。
翌年の昭和7年には鉄道第一連隊が満州に派遣され、ハルビンへの鉄道進撃を行った。

満州事変は日本の南満州鉄道。ソ連の中東(東支)鉄道(帝政ロシアが建設した東清鉄道)に中国が建設した鉄道と、満州は鉄道の利便性が高い地域であった。また、路線付近は満鉄の付属地であった。これを利用して独断で動く関東軍は「路線警備」の名目で部隊を動かす事が出来た。(事変前。日本の租借地である遼東半島を越えて長春まで満鉄は伸びていた。つまり、敵地の中に日本の路線があるために鉄道での進撃が出来た)
関東軍は事変に朝鮮半島を管轄する朝鮮軍を出動させるべく、朝鮮半島と満州を繋ぐ安奉線を確保する事が重要にもなっていた。いわば満州事変は鉄道主体の戦場でもあったと言える。しかし、陸軍中央には極秘で関東軍が独断でした作戦であるから鉄道部隊は主役にはなれず、満鉄が主役となってしまった。

1932年(昭和7年)8月に「臨時装甲列車」、または「軽装甲列車」の開発が決まり。翌年8月には完成した。また、昭和8年から「重装甲列車」の開発も行われ「九四式装甲列車」と呼ばれた。
この2つの装甲列車の違いは
「軽装甲列車」:12輌編成 各種機関銃16丁・13ミリ対空機関砲2門・150ミリ榴弾砲2門・高射砲2門
「九四式装甲列車」:8両編成 各種機関銃10丁・105ミリ榴弾砲2門・高射砲2門
「重装甲列車」として開発された九四式が軽装甲列車より武装も車両も少ない印象を受ける。しかし、九四式は
低コストでの重装甲を備えた列車(軽装甲列車の教訓で重量過多での走行の不備から)として開発された。また、長距離射撃を行わない事から軽装甲列車より威力の劣る105ミリ砲になった。だが、火砲全てを列車の前半分に集中配備した事で軽装甲列車に劣らない強力な火力を有した。それに速度も軽装甲列車の60km/hから65km/hに、電源車を導入した事から通信能力が向上するなど九四式が総合的には軽装甲列車よりも優れていた。
また重装甲を課題にした九四式の装甲は機関車や警戒車で6ミリ・指揮車や砲車・電源車には側面10ミリ・その他6ミリとなっている。(軽装甲列車は機関車で車体外周に10ミリ、その他6ミリ)
結局軽装甲列車は重量の大きさから状態の悪い路線を通りにくく、やがて満州の路線警戒や、対ソ侵攻作戦に必要な装甲列車としても残された。

参考資料
電脳戦闘団
http://blinda.ld.infoseek.co.jp/vkg_000.html
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)の「臨時装甲列車」・「九四式装甲列車」の項より
歴史群像2006年10月号「満州電撃戦 関東軍北方快進撃の秘策」
その他、(1)の書籍

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【鉄道は19世紀の先進文明の象徴】鉄道と日本軍
鉄道は軍事と不可分のものでもあった。
URL 2011/01/22(Sat)10:33:34
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