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架空戦記小説と軍事の記事を中心にしたブログです
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航空自衛隊の前幕僚長田母神俊雄が書いた論文「日本は侵略国家であったのか」が大きな問題となっている。
空幕長と言う要職で問題を巻き起こす事をするのは良いものでは無いが論文が与えた意味は大きなものである。
マスコミや国会の参考人質疑を見ると問題は2つに集約される。
・歴史認識
・文民統制
前者は論文について。後者は政府認識と違う考えを持っているのではないかという疑心である。
マスコミと国会では主に文民統制の危機だと問題提起している。
政府認識の元である村山談話。1995年に終戦50周年を記して当時の総理大臣であった村山富市が語った声明である。

「戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします」
(村山談話より一部抜粋)

日本は侵略を行いアジア諸国に惨劇を振りまいた。よって謝罪する。それが村山談話の意味である。
田母神氏の論文ではそれに対すると思われる内容では。

「さて大東亜戦争の後、多くのアジア、アフリカ諸国が白人国家の支配から解放されることになった。人種平等の世界が到来し国家間の問題も話し合いによって解決されるようになった。それは日露戦争、そして大東亜戦争を戦った日本の力によるものである。もし日本があの時大東亜戦争を戦わなければ、現在のような人種平等の世界が来るのがあと百年、2 百年遅れていたかもしれない。そういう意味で私たちは日本の国のために戦った先人、そして国のために尊い命を捧げた英霊に対し感謝しなければならない。そのお陰で今日私たちは平和で豊かな生活を営むことが出来るのだ」
(日本は侵略国家であったのかより一部抜粋)

太平洋戦争で日本軍が東南アジアのイギリスやオランダの植民地に進撃してその地域は戦後に独立を果たした。当時の日本が考えていた独立の姿では無かったが日露戦争の勝利から見えた有色人種が白色人種に勝つ可能性を日本はアジアやアフリカに示した。
アジアで独立運動の活動家達は日本に大いに期待していたが、日本の政策は福沢諭吉の「脱亜入欧」のままであり欧米との覇権争いがメインであった。太平洋戦争で日本軍が占領した地域では資源獲得を優先とした軍政であり今村均中将のように現地民への配慮をしたケースが希であった。
また、インド独立のインド国民政府やインド国民軍を創設したが太平洋戦争での日本は戦略が方向の定まらないものであった為にインド独立への行動も1944年のインパール作戦の一環にインド国民軍を同行させるに留まった。

日本が侵略したのも事実であり、アジアの独立に寄与したのも事実である。
とはいえ、あの戦争で敗北した日本の正史は侵略という面が主である。
それを自衛隊をも共有せねばならないとするのがマスコミと国会の論理である。
太平洋戦争や日中戦争に否定では無く肯定的な意見を自衛官が持つと右傾化して自衛隊がクーデターを起こすのでは無いのか?ともテレビで評論家が言った事もあった。
本来は歴史検証の問題が政治的な問題になったのである。
とはいえ、他国に侵略したのは日本だけでは無い。中国も1951年にチベットを侵略し今も領土の一部としている。ヨーロッパ諸国はアフリカや中東・アジアに植民地を次々と作り上げた。アメリカもハワイ王国を滅ぼしてハワイ州として併合した。
敗者とはいえ歴史に背を背けているのは日本だけだ。
負の感情を持って果たして命がけの任務やストレスの多い環境に耐えられるかと言いたい。
田母神氏は参考人質疑でこのように語る。
「日本をいい国だと思わなければ頑張る気になれない」
多様化する任務は現場の幹部や隊員に重圧を強いている。そんな過酷な仕事に誇りを持てる事が出来なければいざという時に全力を出せるだろうか?いや、平時での規律も危ういかもしれない。
21世紀になり、8年を過ぎた今日。明治・大正・昭和の歴史と向き合わなければならない時なのである。
歴史の問題は日本人でありながら国旗と国歌、または祖父母の世代を否定する非情なものになってしまった。それは教育や国家の姿勢で半世紀以上に渡り続けられて来たからだ。
敗北したとはいえ戦後をまだ引きずる日本。
まだ戦後は終わっていないのだ。
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