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架空戦記小説と軍事の記事を中心にしたブログです
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6日前の4月5日。北朝鮮は新型の弾道ミサイルを発射し、1998年のテポドンを上回る飛距離を見せた。
今回の発射で日本政府は北朝鮮のミサイルが飛行コースの下にある東北地方に墜落しないか危ぶんで自衛隊に初めて「破壊処置命令」を発令した。
空自は弾道ミサイルを撃墜出来る能力を持つPAC3地対空ミサイル部隊を東京都内や千葉県に埼玉県・岩手県・秋田県の自衛隊施設に展開した。海自は弾道ミサイルが迎撃出来るSM3艦対空ミサイルを搭載したイージス艦「こんごう」と「ちょうかい」が佐世保基地から日本海に展開した。また「きりしま」は太平洋側に展開して東北地方を通り過ぎたミサイルの追尾を担当した。
アメリカも電子戦機RC135コブラボールにE3セントー早期警戒管制機が嘉手納に展開して発射予告の時期より前に北朝鮮監視の飛行を行っていたようだ。
米海軍もアーレイバーク級駆逐艦「ステザム」が3月23日に青森港へ入港していた。米海軍は北朝鮮に備えた動きではないと発表したが、発射後に日本海では米軍艦艇が2隻居たとニュースで報じられていた。その映像もアーレイバーク級であったから「ステザム」がその1隻であろう事は間違いない。
軍事的に見ればまさに臨戦態勢で、1998年の時より警戒態勢やミサイル防衛の技術が高まった事で構える姿勢が特に日本が出来たからだ。
北朝鮮は人工衛星打ち上げであるから日米の警戒態勢は過剰な行動だと非難したが、国連安保理決議1695に違反している事に間違いはない。
1695では「ミサイル関連計画の停止」が書かれている。人工衛星の打ち上げでも、衛星を宇宙まで運ぶロケットがミサイル技術に転化出来るのは米ソ冷戦からの常識である。
テポドン2が日本を狙うミサイルでは無いにしろ、北朝鮮がミサイルを使った対外的なアピールを続けるのは脅威に他ならない。
今回の打ち上げで北朝鮮はミサイル技術の開発に余念がない事を示している。日本を攻撃するに使うであろうノドンミサイルの改良(正確な誘導装置など)も技術の向上した事で行われるかもしれない。
はっきりとメディアでアメリカと共に日本とも敵対する意志を述べる北朝鮮。こんな国が日本を射程に入れた弾道ミサイルを持っている事はいつ日本にミサイルが向けられるか分からない脅威であるからだ。
だから、今回の「破壊措置命令」は国家の姿勢として正しいものである。

今回の発射で、日本はちょっとした混乱が起きた。
北朝鮮が発射すると通告した4月4日~8日の第1日目である4月4日。防衛省からの誤報が秋田県に流れてしまい、正午過ぎには千葉県のガメラレーダーことFPS-5警戒管制レーダーの誤探知と空自側の情報確認ミスでEm-Netに「飛翔体発射」の誤報が流れてしまった。
すぐに訂正されたが、マスコミでは今もこの誤探知や誤報で自衛隊はだらしないとした論調が出てしまっている。
けれども、実戦に近い状況を初めて大規模な形で経験した事を思えば何の損害も無いのだから問題点が洗い出せて良かったのではないかと思う。
安全保障問題では未熟さや未整備な点が多い日本なのだからこのぐらいのアクシデントは当然とも言える。
今回の誤報が良い経験となる糧になる事を望むばかりだ。

さて、あのガメラレーダーは何を探知したのだろうか?
千葉県のガメラレーダーは試験用の物であり、完成された物とは違うから不具合が生じてしまったのではないのか?
いや、北朝鮮のミサイルは発射してすぐに落ちてしまったから判断できずに誤探知と判断したのでは?
(2006年の発射でテポドン2はすぐに事故で40kmで落下したという)
4日は色々と推測をしたものだ。
だが、ガメラレーダーは「何か」を探知していたようである。
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090409/kor0904091145003-n1.htm
(産経ニュース。北ミサイル発射前日に偵察中の戦闘機墜落か)

なんと4日にテポドンの発射基地あがある舞水端里(ムスダンリ)の空域で偵察飛行をしていたミグ23戦闘機1機が海上で墜落していたと韓国の聯合ニュースが9日に報じている。
ミグ23は発射直前の4月2日に韓国からの報道によれば日米の警戒に対抗して舞水端里近くの基地に配備されたという。
その内の1機が4日に墜落した。もしかするとこのミグ23を探知したのかもしれない。
それをミサイルと判断したのは誤りだが、もしも本当に舞水端里のミグ23を探知したとすると千葉県から北朝鮮北部までもを広範囲に探知出来る能力をガメラレーダーは備えている事が証明される。

さて、今回のテポドン2はどのぐらいの射程があるのだろうか?
日本列島を越え、日本より東に1200kmまで飛んだのを自衛隊は(「きりしま」のレーダーだろう)確認している。
アメリカ軍は追尾した情報で、「ハワイに届かない」としている。
これと北朝鮮が通告した第2段目の落下海域とを考えると太平洋の半分までもを射程としたミサイルではないかと推測する。
これでは、グアムは狙えてもアメリカ本土までは届かない。そうなるとアメリカにとって脅威では無いのでは?とも言えるが、そうでも無いと思える。
1998年のテポドンよりも格段に性能向上である。次に登場するテポドン3は米本土に到達するかもしれいないとアメリカに潜在的な脅威を与える事になるだろう。そうした意識が強いとブッシュ政権が行った重油供給停止の措置などアメリカ独自の制裁を行うと思われる。
だが、アメリカが危惧するのはテポドン2の技術がイランに渡りイスラエルを狙えるミサイルが開発される事だろう。
イランは北朝鮮からスカッドミサイルやノドンミサイルの技術提供を受けてハシャブミサイルを開発している。
そのイランは2007年に「アシュラ」という射程2000kmと言われるミサイルを開発したと発表している。
これでもイスラエルを攻撃可能だが大気圏外という高々度を飛行する弾道ミサイルであろうテポドン2の技術もイランは欲しいと思うだろう。
射程2000kmを越え3000kmに近いであろうテポドン2はイスラエル攻撃に使うなら弾頭の重量を増やして射程距離を削る代わりに攻撃力を増す事が可能であろうし、核兵器の搭載も可能になる実現性がある。
つまり、イスラエルにテポドン2の技術が渡ってモノにしてしまったら中東の緊張が高まるであろうし。
そうなれば宥和政策に変化しつつあるアメリカとイランの関係が崩れるであろうし、アフガンの安定化にも悪い影響が出るだろう。

何にせよ北朝鮮のミサイルは世界情勢を騒がせる花火である事は確かだ。
この花火に経済制裁の実行と中止や圧力と対話の繰り返しで関係が進展せずいたずらに北朝鮮の態勢維持に国際関係が手を貸させる道具になってほしくない。
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無題
ミサイルで騒いでいるのは日本だけのような情勢になってきましたが
唯一の被爆国である日本が主張をして行かないと
核軍縮の動きは滞ってしまう、
核に対する視線が緩くなってしまうような危機感を感じますね。
名無し 2009/04/16(Thu)00:03:54 編集
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