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架空戦記小説と軍事の記事を中心にしたブログです
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土曜日に映画を2本続けて見てきました。
「真夏のオリオン」は初回の公開であったせいか結構客は多かったですねえ。客層も老若男女それぞれな感じでした。

●ハゲタカ

NHKで放送された真山仁原作のドラマの続編である。
ほとんどドラマを見ない自分にとっては数少ないお気に入りの作品である
ハゲタカ。それの映画化とあって期待をしていました。
まず結果を言うと大満足。
ドラマと同じく緊張感のある展開がなんとも楽しい。
アカマ自動車のホワイトナイトととして名乗りを上げた主人公の鷲津政彦(大森南朋)
だったが、中国系ファンドの劉一華の持つ中国政府から得た莫大な資金の
物量戦に圧倒される。
とうとう鷲津は頼りにならないとアカマの社長が見限り劉との提携案を受
け入れてしまう。
鷲津は負けてしまったのか!どうなる!?
という流れで次の展開が楽しみになる演出で全編が楽しめた。
また音楽はドラマに使われていたのとあまり変わらない曲ではあったがか
えってそれがハゲタカの世界観を醸し出して良い味である。
ちなみに音楽担当の佐藤直紀氏は映画「ローレライ」や「海猿」シリーズ
も手がけている。それらの作品で使われた臨場感のある曲は大好きだ。
(個人的には本編で「ららららら」のコーラスが入る曲が無かったのは惜しい)
今回の劇場版では日本企業を狙う中国資本だけでは無く派遣社員の問題に
リーマンブラザーズ破産も描かれているし何よりも印象深い風刺的な場面
はアカマ自動車にとってマイナスの事件をテレビ局(栗山千秋演じる記者)
が取材しようとすると上司から「アカマはスポンサーだから。この事
は報道できない」という台詞が出て来る。
コメディのネタでは聞く台詞だが、この場合はスポンサー次第で報じられな
い出来事も世の中にはあるという事も暗示しているようで意味深い。
今回のストーリーでは劉と派遣社員守山の成り行きも見所である。
いわゆる勝ち組な劉に対して不遇な派遣社員である守山は何も希望が無かったが
劉は「誰かになるんだよ!」と守山に諭す。そこから自ら動き出す事に目覚め
ついにはアカマGTを買うまでに成長する。
(これは劉から貰ったお金で株を投資したからなのかな?)
対して劉は鷲津を圧倒して勝ったと思い絶頂の時を迎えるが結局は鷲津を越え
る事は出来ず惨めな最期を迎えてしまう。
(この当たりは「俺はアンタ(鷲津)だ」と言う台詞に現れているんだろうな)
何となく鷲津に敗北する劉が「シグルイ」の伊良子清玄を見ているようだった。
虎眼流の跡継ぎになれるかと思いきや当主の岩本虎眼の怒りを買ってしまう
上昇と転落の様がなんとも似ている。
このハゲタカでは思うに夢についても描かれているように思う。
芝野建夫(柴田恭兵)がアカマ社長にアカマの車に憧れていたという事を語ると社長は「そんな
話は嫌いだ」として受け付けない。また劉も子供の頃に見た疾走する初代アカ
マGTを見て憧れを抱いていた。(守山がアカマの車に憧れていたかは分からないが)
こうした仕事に憧れや夢を持つと言うのも隠れた要素にも思える。
それは「何の為に働くか」という一つの答えであるようにも思える。
ただ「生活の為」だけでは無く仕事自体や仕事の成果に何を求めるか。
それを上手く訴える内容に仕上がっている。
今回では調査や情報収集で活躍する村田丈志(嶋田久作)が一番カッコいい
なあと俺は思う。(裏方さんてなんかカッコ良くない?)

●真夏のオリオン

池上司の「雷撃深度十九・五」を福井晴敏がアレンジした作品である。
「ローレライ」を楽しんだ自分としては期待をしていたんだが…
どうも個人的にはあまり満足できなかった。

潜水艦や将兵の動きなんかは正確な考証がなされていて良かったのだけど
どうも緊張感のある展開に欠けるような気がする。
やはり敵駆逐艦が迫る時や爆雷の落下する演出をじわりじわりとした緊張感のあるもの
にすれば違ったものだと思う。
それと音楽も「ローレライ」と違い場面を煽る効果としてあまり出来てない
ようにも思える。
とにもかくにも演出が足りないと思う。
それと作中では海底に鎮座した伊81から潜望鏡を叩いて伊77に伝言する
場面はどうも浪花節が強いなあと思った。
ここが後に伏線となるのだが、伝言なら普通の電文で艦隊司令部に送りそれを
知って伊77艦長である主人公の倉本孝行(玉木宏)が伊81の敵を討つ事を
誓うという展開ならば燃える展開になったと思える。
浪花節というか今作ではヒロインである有沢志津子(北川景子)の描写も多過
ぎな感がある。
作品で現在と過去に日米を繋ぐ道具として「真夏のオリオン」なる楽譜がある。
それを書いたのが志津子であるから重要な存在ではあるとはいえどうもくどい。
この辺りは「Uボートみたいな緊張感のある映画が見たい」か「パールハーバー
みたいに恋愛要素も充分にある映画が見たい」という嗜好の違いだろうかな。
主人公の艦長である倉本が妙に丁寧で飄々とした軍人らしからぬ様子に見える
かもしれないがこんな人も元将兵の記録を読むと居るものである。
ステレオタイプでは無い軍人像を描いた点は評価は出来る。
また回天の扱い方も機転の利いた使い方で面白かった。

今後邦画で戦争映画を作る人は岡本喜八の作品は見て欲しい。
(あの監督の作品に出てくる将校や兵隊に軍隊の描き方はまさに人間臭さがよく表れている)
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某掲示板では呉護衛艦隊または呉陸戦隊とも名乗る戦車と眼鏡っ娘が好きな物書きモドキ
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