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(CNN)
1月15日に南極海で調査捕鯨を行っていた日本の「第二勇新丸」へ環境保護団体「シー・シェパード」が抗議活動を行った。
その抗議のやり方は「第二勇新丸」へ薬品の入った瓶(酸が入っているとも言われる)を投げ、活動家2人が乗り込むと言うものだ。乗り込みの目的は捕鯨が国際法とオーストラリアの法に照らすと違法であると言う事を書いた書簡を手渡す為であった。
この不法侵入に船員が2人を拘束して船室に収容した。これを「シー・シェパード」は甲板上で縛られた様子を撮影して「2人は乗組員にさらわれて人質になった。日本は2人を利用してわれわれを脅している。テロの一形態だ」とコメントして映像を公開した。
オーストラリア政府は活活動家2人の釈放を日本へ要請した。日本政府は外務省からシー・シェパードへ活動家2人の引き渡しについて打診するものの、返答は無かった。(これを16日放送のテレ朝「報道ステーション」のインタビューでは「こちらは話し合いの準備は出来ているが日本側から何の話も無い」と語る)
オーストラリア国内のニュースでは「活動家2人は意思的に拘束された」とシー・シェパード寄りの報道であった。
17日には活動家2人をオーストラリア税関の巡視船に引き渡した。日本側の話し合いにシー・シェパードが応じない為にオーストラリアが間に立った格好になった。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008011701000954.html
(東京新聞)
18日には活動家2人はシー・シェパードの船に戻ったが、早々にも活動を再開。今度は「第二勇新丸」の姉妹船である「第三勇新丸」へ薬品入りの瓶10個を投げつけた。
http://www.asahi.com/national/update/0119/TKY200801180398.html
(朝日新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080118AT1G1803E18012008.html
(日経ネット)
http://sankei.jp.msn.com/world/asia/080118/asi0801181130002-n1.htm
(産経ニュース)
「懲りてない」としか言いようが無い結末である。
今回の事件はクジラの保護を謳う思想から起きたものだ。クジラの保護は1946年の国際捕鯨取締条約の締結からである。1960年代の国別捕獲枠や減少鯨類の捕獲禁止措置が制定されると、採算性の問題からアメリカ・イギリス・オーストラリアなどが捕鯨産業から手を引いた。1972年から捕鯨派と反捕鯨派の対立が激化。反捕鯨派が多数派工作を行い、現在の状況へと繋がる。
捕鯨反対の理由としては、捕鯨よりも、観光のホエールウォッチングの方が儲かると言う経済的な面もあるが、主な反対する理由は「知性の高いほ乳類を食するのは野蛮である」とする観念からである。
つまり、「賢くて愛らしいクジラを食べるなんて信じられない!」とする考えだ。
これは欧米では捕鯨の目的が日本のように食糧としでは無く鯨油を灯火用、ヒゲをコルセットや帽子・甲冑の装飾に利用すると言った目的で捕獲されていた。
ある意味において、クジラの食文化が周知しなかった(クジラを食する文化はあった)事が欧米での反捕鯨運動が起きる要因であるのだろう。
しかし、クジラは保護により絶滅の危機から脱している。逆に年間で2.8億トン~5億トンの魚介類を世界中のクジラが食していると言われる。食糧の確保を考えるとクジラを手放しで保護するよりも、ある一定の枠内で食料として捕獲しても良いのでは無いかと思える。
http://www.whaling.jp/qa.html#03_02
(日本捕鯨協会よりクジラの資源量)
だが、反捕鯨の活動は環境保護からイデオロギーの域に来ている。オーストラリアの現政権(ケビン・ラット首相)は環境保護重視を掲げている。これはクジラの保護も含まれていて、「日本の調査捕鯨監視」をも公約としている。
活動家2人が拘束された今回の事件が起きた日にオーストラリア連邦裁判所は日本の捕鯨禁止を命じる判決を下した。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080116ddm041040043000c.html
(毎日新聞)
http://nzdaisuki.com/news/news.php?id=3233
(ニュージーランド総合情報)
これは記事にもあるが、法的拘束力は無い。しかも、2005年には日豪関係を案じて法務長官が介入して裁判は中止されていたが政権交代による反捕鯨運動の高まりで判決が出たのだ。シー・シェパードはこの判決を盾にあんな行動に出たのだろう。
また、クジラの捕獲や保護についての国際機関「国際捕鯨委員会」は南極沖をクジラ保護のサンクチュアリ(海洋保護区)として制定している。日本はこれれに反対し、今も「科学的立証無し」として撤廃を主張している。
これらサンクチュアリとオーストラリア国内での反捕鯨の組み合わせが今の事件と日本への非難に繋がっている。
クジラ保護の大義名分で反対意見を聞き入れない。まさに危険なカルトと化しているのが現在の反捕鯨運動と言える。
先にも書いたが、反捕鯨は観念的な理由での主張が強く日本が決められた枠内での調査捕鯨しかしてない事やクジラを食する文化について説明していてもシー・シェパードやオーストラリアの現政権公約を見る限りでは理解されていないのが事実である。
(見方を変えれば、オーストラリアはシー・シェパードの危険な行動を支援するテロ支援国家とも思える)
このまま控えめの主張よりも、捕鯨の有用性を強くアピールすべきだと思う。
これは日本を理解して貰う事もあるが、調査捕鯨に向かう日本人の安全確保の為でもある。
船をぶつけて沈没させた事のある団体相手には海自の護衛艦でも付けて牽制してやれ。とも感情論では思えるが一種のカルト団体への抗議を国際社会に行うには正論を冷静に言い続ける他にない。
何よりも、日本は正当性を主張する宣伝や沿岸国の議員へのロビー活動をするべきだと思える。
ハンドボールの問題でもそうだが、強引な程に大きな主張の方がまかり通るのが世界の流れなのだから・・・。
http://www.australia.or.jp/seifu/pressreleases/index.html?pid=TK01/2008
(豪政府の「日本の調査捕鯨に対する行動」)
http://www.australia.or.jp/seifu/pressreleases/index.html?pid=TK02/2008
(豪政府外務大臣による南極海の拘束の件について)
http://luna.pos.to/whale/jpn_nemo4.html
(反捕鯨の病理学第2回)
http://luna.pos.to/whale/jpn_nemo6.html
(反捕鯨の病理学第4回)
http://www.whaling.jp/qa.html#03_02
(日本捕鯨協会 捕鯨問題Q&A)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1111692916
(Yahoo知恵袋での捕鯨問題に関する質問と回答)
まあ、2年も続ける2ch中毒者みたいなもんだ(笑)
スカパーの某実況スレに常駐してて、その実況民の方ともオフ会で何度も会ったもんだから親しみから書き込みを続けているのだ。
しかしだ。
昨年の大晦日から規制されて書き込めない。
1月7日から解除されたが、1月12日から今現在も規制中である。
2008.01.19 土 00:27.53.
>620
管理人より規制継続やむ無しの判断が出ました。
このような結果になってしまい大変残念です。
先方に厳しい措置が出来ないか再度要請します。
これは2chの規制された俺と同じサーバーであるDIONユーザーの集まるスレ(DION規制喰らった奴の溜り場6)で見つけたものである。
規制の延長決定らしい・・・これが本当なら「絶望した!!」と叫ぶしかない。
別の手段として携帯電話で書き込みも出来るが、非常にやりづらいし、実況のリズムに乗れないのだ。
常駐のスレでは携帯電話での早い書き込みをする猛者が居るが俺には無理だ。
こうなると「たまには実況しなくても良いじゃん」とも言える。けれどもどこか淋しさを感じずにはいられないもんで、馴染みの場所と化したから隔絶されるのがね・・・。
にしても、この長い規制は2chをやっていて初めてだ。前述の運営の方からと思われるコメントを見ると、さすがに腹が立つもんです。5日だけ規制解除して後は少数の荒らしによって大部分が納得のいかない迷惑を被る。それに今回は年末年始に規制するという異常事態を今日も、これからも引きずるのである。
ある意味。規制は荒しをかまう格好になってないかとさえ思える。なんとなく、規制されたDIONユーザーの書き込みを見て荒しが笑ってるんじゃないかとさえ思える。
もう、運営さんも意地にならんと荒らしはスルーで対応してくれよ。全サーバー規制。つまり、誰か知らない荒らしの制裁を連帯責任で長期間受けるのは納得できるハズがないではないか!
いや~今年は不快なる始まりですよと愚痴ってみる。
「今日、最初のニュースは榊野学園での殺人事件からです。女子生徒が学校の屋上で殺害された今回の事件は警察による現場周囲の聞き込みや現場検証が行われているものの、犯人の特定には至っていません」
女性アナウンサーが淡々と伝える。
テレビのニュース番組はどれもトップニュースで世界が殺された事を報じていた。けれども未成年という事で名前は伏せられていた。
「原巳浜署の山田さん。何か新しい情報がありますか?」
アナウンサーは原巳浜署の前に居る局の記者を呼んだ。テレビの画面はアナウンサーの言葉を聞くために付けた耳のイヤホンを調節する眼鏡の男を映し出す。
「え~捜査本部の会見では犯人の特定はある程度できていると発表がありました。その為に捜査は広範囲に広げているそうです」
記者は少し焦り気味に言った。
「つまり、犯人は原巳浜より逃走していると言う事ですか?」
アナウンサーが聞き返す。
「そのようです。詳しい事は何も発表がありません」
「他に新しい情報は無いですか?」
スタッフのカンペをちらりと見たアナウンサーが記者にまた尋ねる。
「捜査本部の発表では原巳浜で起きたアパートでの事件も今回の事件と関連性があると断定しました。犯人は2人を殺害した可能性があるとして捜査をする――――」
そこでテレビのチャンネルが変わり、黄色い全身タイツを着た中年の男がハイテンションで体操する場面が映る。
「どうも、最近はこんなバカみたいな番組を見ると和むんだよなあ」
野瀬が缶コーヒーを飲みながら署内でしみじみと言う。テレビからは「今日も元気に体操だ!」とかけ声を出して力強い運動を全身タイツの男がしている。
「テレビで仕事の事を見るのは疲れますね。覚悟していたとはいえ」
高町もテレビを見ていた。殺伐とした事件に向き合う仕事をしていると毒にも薬にもならないモノが良い意味での現実逃避にさせる。
「にしても、だいぶ捜査情報が出回ってますね」
高町が切り出す。
「確信的な所を警察OBの評論家やウチの署のもんにパイプがある記者がバラしてるな。さすがに犯人が未成年だから実名は伏せられているが…」
野瀬はふうとため息を少し吐きながら言った。マスコミは様々な人脈を使い事件の新しい情報を得ようと躍起になっていた。週刊誌や一部の報道番組では「殺害した犯人は被害者と同じ学校に通う生徒」と書かれていた。また、生徒からの聞き込みで世界・言葉・誠の三角関係についても週刊誌では噂による根拠がない情報をも載せられていた。
この生徒からの情報は野瀬と高町も何度も聞いた。それは噂もあったが、半数は信じがたい本当の話であった。
「桂さんの事?あ~伊藤くんの彼女だと言い張った子だったわね」
これは3人組で居た女生徒の発言。この時は聞いてるだけでもウンザリな言葉への罵詈雑言を野瀬と高町に聞かせた。後に別の生徒からこの3人組が誠と関係があった事を知り、野瀬と高町は呆れる事になる。
「西園寺さんと桂さんの事はよく知らないけど、伊藤くんの事なら……まあ、前と変わったかな。前は優しかったのに」
ポニーテールをした真面目そうな女生徒が語った。その目は誠への侮蔑と哀れんだものが混じっていた。
「誠はいい奴だったんだよねえ。だけど西園寺さんを妊娠させるなんて思わなかったよ。教室で西園寺さんが誠に『妊娠したんだ』と大声で言ってさ、その後に吐いちゃって。あんな顔していて凄いもんだよ……え?桂さんの事?…いや、それはよく知らないんだ…いや本当に」
誠の親友であり、言葉に好意を抱いていたと言う男子生徒から聞き込みをした時は言葉については最初口をつぐんだが、言葉に好意を抱いていた事を知っていると言うと「桂さんは好きだった。だけど振られたんですよ」と淋しげに言った。
これを同じ事を聞いたマスコミは
「恋愛のもつれでの殺人か?」「乱れた泥沼の関係」「被害者の少女の彼氏は二股どころじゃない遊び人」など、事件の背景を知った週刊誌のマスコミは好餌とばかりに次々と過激なタイトルで記事を書いた。
「どうも、時々マスコミにネタを与える為に仕事してるんじゃないかと思ってしまうんですよね」
「そんな考えはよそうぜ。余りにも自分が哀れだ」
警察は時に世間に晒され、重圧を受ける職業でもある。
この日の捜査会議は誠の部屋のカーペットに付着した血痕の分析結果を報告する所から始まった。
「分析の結果。伊藤誠の血液型であるO型のものと判明しました。また、科捜研(科学捜査研究所)によるとカーペットに染みこんだ血液の量から伊藤誠の生存はかなりの確率で低いとの事です」
担当刑事の報告に誰もが予想通りだと思った。
「伊藤誠が死んだとすると、死体は何処に行ったかだ」
課長の疑問に少し答える形で担当刑事が報告を続ける。
「カーペットの分析で、人骨と金属の粉が採取されました」
その報告に場が少しどよめく真相に近くなったからだ。
「科捜研は、これをノコギリで切って出た骨の切り屑と、ノコギリの一部が欠けたものだと分かりました」
担当刑事の言葉が意味するのは残忍な事であった。それに一堂は息を呑む。
「つまり。伊藤誠は殺害された後にノコギリでバラバラにされたと?」
管理官が冷静に担当刑事に聞く。
「ここからは私の推論ですが。切断された伊藤の遺体は誰かに運ばれたものと思われます」
担当刑事は自分の推理を言うと報告を終わって着席した。
「殺しと遺体切断。これを桂がしたのか。女は怖いよな」
野瀬は高町にだけ聞こえる様に言った。
「ホントですね。あんな可愛い子が」
高町は哀しげに答えた。
「ここで予想出来るは桂がバラした遺体を運んだかもしれないと言う事だな」
課長は皆が思った事を言う。それは新たな問題の提示だ。
「だとすると、どうやって運んだかだ」
課長が言うのはバラバラとなった誠の遺体をどんな手段で運んだかだ。バラバラにしても遺体はかなり重い。それを10代の少女が運ぶのは難しいだろう。もしかすると誰か共犯が居るのでは?と課長は含みのある事を言っているのだ。
「それに関して情報があります」
野瀬がおもむろに発言する。
「桂家の所有するヨットが泊まっていたヨットハーバーでの聞き込みをしたところ、桂はヨットで出た当日に大きなバッグを持っていたと管理者の証言があります」
これは以前に野瀬が捜査会議で報告した事だ。野瀬は事件に大きく関わると感じて再度同じ報告をする。
「以前はこれを逃走用の日用品や服を詰め込んだものと考えていましたが…もしかすると中はバラバラになった遺体がある可能性も大きいかと」
これを聞いた課長は「愛する彼氏を側に置きたいか…」と感想を漏らした。
「それが本当なら海上保安庁を待つしかないな」
管理官は行き詰まったと感じたように言う。今はどこかの海に居る言葉を探すのはここの刑事達では無理だからだ。
「もしも、そのまま長く発見されなかったら桂は…」
ぽつりと高町が言うと
「滅多な事を言うな。あんなお嬢さんと死体で対面するのは寝覚めが悪いじゃないか」報告と意見を述べて着席した野瀬が言った。例え犯人でも死体で出会うのは気持ちの良いものでは無い。それは自分達の手柄がどうこうの問題ではない。犯人自身が死ぬことで事件を葬るからだ。
(海保さん。早く見つけてくれよ…)
野瀬は改めて海保の成果を祈らずにいられなかった。
沖縄本島沖の海上。
ここを飛行する1機の航空機がある。YS-11。戦後日本が初めて開発した旅客機である。このYS-11は「しゅれい1号」の名称で海上保安庁第11管区所属の機体だ。定時の飛行で沖縄本島周辺の海域上空を飛行していた。
「9時に小型船発見」
「確認の為に左へ旋回しつつ高度を下げるぞ」
「しゅれい1号」のクルーは原巳浜署からの要請も聞いていたが、何よりもこの海域では中国からの密航船が来る場合がある。それが無いか確認するのが第一であった。
「確認しましたヨットです」
胴体後部の直径800mmの球型見張り窓からそれを見たクルーが報告する。
「ヨットと言うと、警察の要請で確認せにゃいかんな」
機長がそう言うと、目的を変えてもう一度2基のターボプロップエンジンを唸らせて旋回し、ヨットを確認する作業に入る。
「どうだ?」
機長が聞くと「姿は情報にあったヨットと同じです」と見張りは言う。その見張りはビデオカメラでそのヨットを撮影していた。
「しゅれい1号」がそのヨットの上空から去るとカメラの液晶画面で映したヨットの映像を再生する。その時に船体に書かれたヨットの名前と警察から要請のあったヨットの名前と照合する。
「当たりです!」
こう見張りが叫ぶと機長は那覇基地に連絡し、そこから第11管区海上保安本部に情報が伝わる。
そして巡視船「りゅうきゅう」に現場急行の指令が飛ぶ。
「りゅうきゅう」は現場海域に着くとヨットの進路を阻む位置で止まり。3人の海上保安官をボートで件のヨットに向かわせた。
「乗ってるのはあの殺人事件を起こした少女だ。子供だと言っても油断するなよ」
ボートでの移動前にこう訓示をした。もしかすると、乗り込んだ海上保安官に危害を加える可能性があるからだ。
「こちらは海上保安庁です!桂言葉さん!出てきて下さい!出てこなければ船内へ入りますよ」
3人の保安官を指揮する男がメガホンで呼びかけるがヨットからは何も動きは無い。
「よし、乗り込むぞ」
静かなヨットへボートを横付けし、保安官達は乗り込む。
「お…」
乗り込んですぐにヨットのデッキで横たわる言葉を発見した。
「何かを抱えて……うわああ!」
言葉の側に来た保安官が驚愕する。言葉の腕の中には人間の頭があったからだ。それは血の気が失せ青白い。もちろんそれは誠の頭である。
「ど…どうなってるんだ…」
テレビで事件の事を知っているとはいえ、目の前の現実は予想を上回るものだ。
当の言葉は痩せこけた顔で眠ったように意識がない。
「その頭は取りあえずそっちに、まずは桂さんの脈を測れ」
それまで一心同体の如く言葉に抱かれた誠の頭はこうして引き離された。
「微弱ですが脈はあります」
言葉の手首から脈を測り虫の息に近いものの生存を確認した。
「『りゅうきゅう』へ。こちら桂言葉を発見。本人は意識不明の状態です、すぐに病院への搬送を」
こう保安官が無線機で報告し息継ぎをした後で報告は続く。
「尚、男性の頭部も発見しました」
これに「りゅうきゅう」からはざわめきが聞こえる。
「おい、何やってるんだ?」
通信を終えると1人の保安官の行動が目に留まる。その保安官は言葉の側にあったバッグを開こうとしている。
「この船に乗り込んでから変な臭いがしてたんで気になってたんですよ」
と、その保安官が言う。確かにこのヨットは異様な生臭さに包まれている。それは誠の頭から発するものかと思っていたが、この保安官は違う所に原因を見つけていた。
「このバッグ。少し開いてるでしょ?まさかと思いますが」
こう言いながら保安官はバッグに手をかける。チャックが勢い良く下げられると臭いは濃さを増した。
「うぐう…・」
バッグを開いた張本人は中身を見るや海へ向けて嘔吐した。もう一人も少しだけ見ると同じ反応をした。
「くっ…狂ってる…」
指揮する保安官は経験からか嘔吐まではいかないものの、バッグの中身を見て背筋が凍り身体は軽い震えをもよおした。
そのバッグの中身。
切断された誠の身体が詰め合わされていた。その刻まれた部位から流れた血がバッグの中を赤黒く染め、南海の太陽に照らされて鈍い光を放ってはいたが、剥き出しの骨や筋肉や気管をを覆い隠す事は出来なかった。また、胴体を2つに切ったせいか腸や肝臓と思われる臓器がひしめき合う誠の肉体の間に挟まれていた。
(↑左からUH1ヘリ・M16小銃・ガバメント拳銃)
ひぐらしのなく頃に解の最終回(第24話「オシマイ」)に登場した兵器を紹介します。
まずは、小此木が鷹野に自決用にと渡したM1911コルト・ガバメント拳銃だ。
1911年に米陸軍が採用し、1926年の改良を経てベトナム戦争まで70年も使われたガバメント。日本では戦後に警察予備隊の頃から採用され自衛隊も1982年にP220を採用するまで使った拳銃である。
「ひぐらし」の世界では拳銃の更新直後ではあるからガバメントを山狗が持つのも不思議では無い。
さて、ガバメントはよく「大きくて日本人の手には合わない」とされている。当のアメリカの軍人もガバメントを威力と、拳銃自体が大きいから「ポケット砲兵」なんて呼んだ銃である。ネットで海外の射撃体験談を読むと射撃の反動で上手く狙って撃つ事が出来ないようだ。
http://www2.tokai.or.jp/true.friend/guam/5.htm
http://underpressure.ameblo.jp/underpressure/archive1-200704.html
http://www.norari.net/gun/090502.php
(↑ガバメントを撃った体験談)
そんなガバメントを鷹野は片手で持って羽入に向けて撃った訳だが。羽入の力で弾は外れた。
「この距離で外すなんて!」と鷹野は驚いていたが、ガバメントに慣れてなければ至近距離でも外す可能性は大きかったと思われる。
次に番犬部隊の装備である。UH1イロコイヘリとM16小銃である。
山狗を武装解除させるべく出動した番犬部隊は鷹野を拘束すべくUH1からリペリング(ロープでの降下)で降りた。UH1は1962年から陸自向けのライセンス生産富士重工業で始まり、現在でも使用される汎用輸送ヘリでる。
さて、M16である。これはベトナム戦争の頃から採用され今も使用される自動小銃である。しかし、陸自の部隊である番犬部隊が何故にM16なのか?陸自は創設当初にアメリカ供与のM1ガーランドを使っていたが64式小銃が採用されてからはガバメントとバズーカ以外は国産兵器で占められている。(機甲科はグリースガンを使用してた)けれども、64式は「故障が多い」「部品点数が多く戦場向きではない」「部品が脱落するのでガムテープを巻いたりもする」と整備に関する批評が多い。命中率は距離300mで40cmの半数必中界(撃った弾の半数が命中する範囲)が単発で得られて、連射なら60cmになると言う。つまり、64式は撃つだけなら問題は無いが(命中率向上と反動の低減から発射速度が遅いけれども)普段の整備や扱いには問題ありと言う銃なのだ。
番犬部隊も部品の脱落に悩む銃よりも実戦で性能が証明されたM16を採用したと言う事だろうか?けれどもM16も作動機構がガス(発射ガスのガス圧利用システムを採用した為)に晒される為に頻繁のクリーニングが必要とされるものではあるが。この場合は前述の64式の発射速度が遅いのと、弾薬も弱装弾なのを嫌って番犬部隊は威力が64式よりも上のM16を採用したのかもしれない。
(↑左からドラグノフ狙撃銃・RPG7・AK47)
ひぐらしのなく頃に解の終盤になると圭一達と山狗との全面対決になり銃器も色々と登場してきた。
ここでは旧ソ連製のモノを紹介しよう。
まずは、22話「攻防」で魅音が使ったAK47。(葛西が持ってた散弾銃は資料不足で割愛します・・・)
現在でも紛争地域やゲリラの必須アイテムの如くニュース映像に出るAK47。元は旧ソ連軍が開発した突撃銃で、開発者のミハエル・カラシニコフの名前から「カラシニコフ」とも呼ばれる。(22話では魅音もカラシニコフと呼んでいた)
この銃は共産主義を標榜する国や武装勢力に広く供給された為に世界で最も多い銃となっている。これは開発したソ連のみならず、ルーマニアや旧東ドイツなどの東側のヨーロッパ諸国に中国・北朝鮮・南アフリカでも生産されたからだ。
ここで何故に園崎家がAK47を持っていたか。これは後述する葛西のドラグノフにも言えることが、どちらも中国製ではないかと思われる。中国では56式小銃と88式小銃としてAK47はライセンス生産していた。これは輸出もされている。ソ連の方は国交があると言っても武器の横流しが出来るのは崩壊後である。
どんなルートでAK47を入手したかは不明だが、威力の高い7.62mm弾を放つAK47はMP5を持つ山狗と戦うには充分な武器ではあったものの、22話ではあっさりと制圧されてしまった。葛西も同時に倒された事を考えるとAK47が不適当と言うよりも山狗の方が強かったと言う事だろう。
次に23話のラストで山狗が使ったRPG7である。
これもAK47と並んで紛争地域とゲリラが使うお馴染みの兵器である。
RPG7はドイツのパンツァーファウストと呼ばれる携帯式の対戦車ロケット弾を元に開発された携帯式対戦車兵器だ。弾頭は対装甲車両用の成形炸薬弾(HEAT)と対人員の榴弾の2つである(煙幕や照明弾・焼夷弾の弾頭もあるそうだ)威力はひぐらしの舞台となった1983年では300~600ミリの装甲を貫通出来た。(傾斜した装甲では違うと思うが)また、実戦だとベトナム戦争ではRPG7を有効な武器として陣地への攻撃にも使用し、ソマリアでは、建物に隠れたゲリラが米軍のUH60ヘリを2機撃墜している。ある意味において汎用性のある歩兵の兵器なのだ。
また、22話では発射の際にピストル・グリップにあるハンマーを下げる動作が描かれる細かい描写がある。この辺りは見ていて感動したものだ。
何故に山狗がRPG7を使用したかとなると、これは自衛隊である事を隠すのが狙いでなかろうかと思われる。
次に24話で葛西が使ったドラグノフ狙撃銃。
ソ連が1963年に開発した狙撃銃である。この狙撃銃は軽く(他の狙撃銃は5kg。ドラグノフは4.4kg)AK47同様に頑丈な作りである。これは歩兵が使う事が前提とされてるからのようだ。戦場で持ち歩く為に軽く、泥や砂にまみれても作動し、アンサイトと呼ばれる簡易な狙いを定める機器(針金みたいなモノを四角に組んだもの)さえある程で、「プロの狙撃手が使う銃」では無く「誰でも使える銃」と言うのがドラグノフである。(ソ連軍では自動車狙撃兵分隊1個に1挺が装備されていた)
さて、狙撃銃としては有効射程800mとされている。また、最新の暗視スコープを使えば600mでの夜間の狙撃も可能だという。
命中率はセミ・オートマチックライフルでもあるから命中精度は低いとも言われるが、頭部は300m、胴体は600mの距離で一撃でヒットさせる事が可能だともだれている。もってもドラグノフのセミオートの能力は狙った地点に弾を次々と撃ち込み無力化する「歩兵の武器」としての面もあるからと、AKベースで作られた事からボルト周辺の可動部分が重くて射撃した時の振動が原因で命中率が落ちる傾向もあるものの、失敗作でも無い。それは現在もロシアが新たな狙撃銃を開発してない事からも伺える。
前述のAK47でも書いたが、葛西が使用したのは中国製である可能性がある。中国では79式狙撃歩鎗として配備されている。にしても葛西のスナイパーとしての能力は凄いモノだ。